世界保健機関のオリンピックに関する発言について

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こちらのロイター日本語版の記事と、日本語圏からの反応に強い違和感があったので、マイケル・ライアン氏の発言を、雑に訳してみた。記事とかなり印象が違うのではないかと思うが、どうだろうか。

追記2021/5/9午後:もう少しコンテクストがわかるよう、ややさかのぼってロイターの質問からヴァンカーコヴ氏の回答までを追加して訳した。これでロイターの質問に対する回答の全体像になる。

=== ここから ===

——司会

では、質問を受け付けたいと思います。 改めて、本日は特別ゲストとして、技術アドバイサリグループ議長のローレン教授と、賢人会議長のラヴィオト教授にお越しいただいています。 準にお聞きしますので、挙手でお願いします。 では、ロイターのエマ・ファラージさんから。 エマさん、ミュートを切ってください。

——ロイター記者

こんにちは。質問を受けてくださりありがとうございます。 気になっているのですが、オリンピックまで2ヶ月となりました。 安全に開催する方法はあるでしょうか?  ありがとうございます。

——司会

ではヴァンカーコヴ博士から始めましょう。

——ヴァンカーコヴ

わかりました。他の方からも追って答えていただきます。 ご質問は非常に具体的ですが、私の回答はかなり一般論になります。

現在たくさんのことが起きています。 全体としては、世界で症例の増加がおきています。 症例数は過去最大となっており、世界で報告される死者数は非常に厳しいものとなっています。 感染を防ぎ、感染者が感染を広めることを防ぎ、人が死ぬことを防ぐ。感染拡大を制限するために、我々が手にしている最大の手段。それは物理的ディスタンスなどです。

とはいうものの。個別の状況下でアドバイスされるべきは、リスクベースアプローチです。 世界各地の状況は大きく異なります。 感染力は大きく異なります。 ですから個々人のみなさんに我々がお願いすることは、行動のリスクを知り、そのリスクを下げる手立てをとるということです。

物理的ディスタンスをとりましょう。 マスクをしましょう。 屋内では換気をよくしましょう。 安全であれば、窓を開ければいいのです。 呼吸エチケットをまもりましょう。 順番がきたらワクチンをうちましょう。 大規模な集会を避けましょう。

イベントの開催国を支援する際、我々は開催の可否判断にリスクベースアプローチを取ります。 オリンピックでも自宅のバーベキューでも同じです。 オリンピックや、宗教のお祭や、政治集会などの大規模集会に注目が集まりがちですが、自宅での小さな集まりにもリスクがあることを忘れないでください。

住んでいる場所にもよります。 ウイルスの広まっている度合いにもよります。 予定されている地域で、どれだけの然るべき対策が準備されているかにもよります。 例えば、症例検知、初期対応、感染者支援体制、接触追跡、優れたコミュニケーションプラン。 さらに個別の国における、ワクチンの割り当てや接種体制も重要でしょう。

ですから、私の答えは一般論です。 現在世界で開催されるどのイベントも、どの集会も同じです。 本当に重要なのは、世界中の一人一人がこのウイルスとその変異株に対する曝露を最小にすべく、安全を保つ策をとり、そのことによりウイルスの拡散を防ぐことです。

ではマイクさん、どうぞ。

——ライアン

オリンピックに関わる課題は多面的です。 選手村とオリンピック環境における、アスリートとチームの安全に関わる課題。 それから会場の課題。 そして観客は出席するのかしないのか。 さらに会場周辺での人の接触の課題。 そして観客や参加者は国外から来るのかという課題。

これら全て個別に検討される必要があります。 オリンピックを開催するか否かという問題ではありません。 枠組みに含まれる個々のリスクはこのように個別に管理されるのです。

やってくるチームと代表団のための手順書のため、途方もない作業が行われてきました。 チームの検査と隔離と到着に関する多くの準備。 選手村、トレーニング施設、会場周辺でとられる対策。 さらに施設内にやってくる出席者の問題もあります。

日本を取り巻く状況のため、日本政府当局とIOCはまだ会場の入場レベルに関する最終決定をしていないものと理解しています。 日本の陽性率は約7%です。 他国同様、過去数週間から数ヶ月の期間にわたって、日本はこの数値の上昇を経験しましたが、現在は平衡しており、増加は続いていません。 この減少トレンドがどの国にも続くことが私たちの望みです。

日本当局はオリンピックへの参加者レベル決定について強い自信を持っており、我々はこの決定を彼らに委ねます。 日本当局はすでに観客等の海外からの入国を禁止すると決定したと思います。 ですからそこは現在議題とはなっていません。 つまり問題は、会場で許容される、社会的接触と交流の度合いになります。 繰り返しますが、現在これら対策は取られており、接触度合いに関する決定も、日本当局によって順次行われるものと考えています。

接触という単語を何度も使いました。 我々はこれまでもこのウイルスに関連して、接触について繰り返し話しています。 このウイルスは、人々が長時間高密度に接触する環境で感染します。 ですからアスリートを保護する目的は、このような接触あるいは接近を防ぎ、アスリートにとって安全な環境を提供し、あらゆる参加者にとって安全な環境を維持し、そして会場周辺に安全な環境を提供することです。

課題のいくつかは、その時期の疫学的状況に依存するため、イベントが近づくまで決定できません。 ですから開催者が未だ決定を下していないのは、失敗ではありません。 これら決定は、特定の時期に付随する疫学上の数値に基づいてしか下せないのです。

オリンピックが開催されることは我々の望みです。 他の多くのイベントもです。 過去6ヶ月の間、観客を特別な風船でつつむとか、アスリートやサッカー選手、その他いろんな人たちに特別なことをしたりとかをせずに、スポーツイベントがすごくすごく安全に運営されるのを見てきました。

これは複雑なイベントなのです。 たくさんのイベントがあり、たくさんの代表団がきます。 ロジスティクス、リスクマネジメントが試されます。

我々はIOCと東京都と日本政府が、リスク管理について正しい決定をすると信じています。彼らはこれらのリスクがしっかり管理されるよう、まさに今猛烈に努力しています。 オリンピック会場にどれだけの参加者を入れるかなどの決定は彼らに委ねます。 今現在、彼らが公衆衛生保護のためにとてもとてもシステマチックなリスク管理を実行していると考えているからです。 そして7月が近づくにつれ、彼らは疫学的状況に基づいて必要な決定を下すでしょう。

youtu.be 氏の発言はこちらの動画の19:10付近から。