イライジャ・カミングス議員の閉会挨拶


Elijah Cummings' closing remarks at Cohen hearing

ポルノ女優への口止めやロシア疑惑について,捜査機関に対する偽証の罪他ですでに禁固3年が確定しているトランプ大統領の元個人弁護士マイケル・コーエン氏が2月27日,下院監視・政府改革委員会の公開公聴会で証言した。同この証言ではトランプ大統領の疑惑に関する重大ないくつの事実が提示されたが,対象的に共和党議員のおおくが懸命に同氏を「信頼できない人物」として印象付けるために行動したことが極めて印象的で,なかでも「嘘つき野郎,ケツに火がついているぞ」とした横断幕を出すなどしたことが話題となった。また,大統領が人種差別主義者だとする同氏の証言を否定するために,共和党議員がホワイトハウスの黒人職員を連れてきたことも批難と混乱を呼んだ。

参考: トランプ氏は「私のうそを望んでいた」 元顧問弁護士が議会証言 - BBCニュース

が,そんなことはともかく。この委員会の閉会にあたって委員長で議長を務めたイライジャ・カミングス議員が行った閉会挨拶にたいへん感銘を受けたので,上記のこととあまり関係なく訳したい。コーエン氏は過去の態度から一変し,同委員会ではトランプ氏,およびかつての自身を含むトランプ氏を擁護する人々を糾弾したが,このカミングス議員の挨拶はこれら内容をうけつつも,証人であるコーエン氏を通して国内に対して訴えかけるものとなっている。この訳では訳としての正確さよりもカミングス議員の激しい感情の動きを重視した。Democracy intact.

合衆国の政治に詳しいわけではないので,用語は適切でない可能性があるし,訳は不正確な可能性が高い。原文あるいはこの挨拶はYouTube動画などで確認できるので,正確さを要求する向きにはそちらにあたることをすすめます。


私が今日この席でずっと聞いていることは知っていたろう。これはとてもつらいことだ。とてもつらいことだ。コーエンさん,あなたはたくさんの過ちを冒した。そしてあなたはそれを認めた。そしてこの事態のじつに悲しいことは,まったく無実の人々まで傷つけられたということだ。あなたも認めているとおり,それはあなたの家族のことだ。

あなたは今日ここにきた。心の底からいうが…,私は法律家として業務を行うとき,問題に直面した法律家というものを代表して業務をおこなっている。今日あなたはここへ来て,過ちを冒したという。しかし今,私は私の人生をやり直したい。いいかね,私たちは…国家として,過ちを冒した人々に,人生をやりなおす機会を与えてこなかった。あらゆるところでやりなおす機会が十分に与えられていない。

あなたがこれからどう生きるのかはわからない。今日この席で,両方の声をきき,とにかく感じたことは…,慎重にいわなければ,私のことばはそうと知れずあちこちで使われることになるのだが…。私たちはもっとよくできるはずだ。本当にだ。私たちは…。国として,我々はもっとよくできるはずだ。

そしていいかね。子供たちにいつもいうことだが,思うところがあって,コーエンさん,あなたにもいう。悪いことがおきたとき『なぜ自分がこんな目に?』と問うてはならない。『自分にこんなことがおきたのはなんのためなのか?』と問うべきなのだ。あなたにこんなことがおきたのが,なんのためなのか私にはわからない。しかし,私の希望だが,ほんの少しでもこれが私たちの国をよくするためであってほしい。あなたの想いを理解できているとしてだ。今日,あなたが「あたらしい正常」の回復を強く訴えていると感じた。私たちが「正常」に戻るということだ。あなたは私たちの民主主義が機能しつづけることを確実にしたいのだと感じた。

トランプ大統領とのある会合で,大統領にこういったことがある。
「大統領閣下,あなたや私が子供たちに残すことができる最良のものは,確実に機能する民主主義です」
民主主義…,これまで経て来たものより,よい民主主義だ。あなたが今日ここで話したことが,私たちがそこに帰るきっかけになることを私は希望する。

いいかね。わかるか? つまり…。ワシントンポストによれば,私たちの大統領はすくなくともこれまでに8,718の嘘あるいはミスリーディングな発言をしたという。衝撃的だ。こんなことを子供たちに教えるのか? すくなくとも私はそんなことを教えたくはない。そして今日,私にはあなたがこの事実に苦しんでいると感じた。あなたは苦しんでいる。あなたは苦しんでいる。あなたは苦しんでいる。

そしてある意味そうあるべきだが,刑務所に入れられるのはつらいことだろう。だが「ネズミ野郎」呼ばわりされるのもひどいことだ。ことの重大さをわかってない人がおおいので説明させてもらうが,私はバルチモアの下町に住んでいるのでね。いいかね。誰かを「ネズミ野郎」呼ばわりするというのは本当に最悪だ。刑務所にいく人間に対して「密告者」という意味だからね。わかるか。大統領はあなたを「ネズミ野郎」と呼んだ。…私たちはこんなものではなく,よりよくあるべきだ!! 本当にだ!! 私たちがみな,この私たちがのぞむ「民主主義」というものに帰ることができると,そう私は希望する。私たちは子供たちにこの私たちがのぞむ民主主義というものを引き渡すべきだし,そうすれば彼らは私たちよりうまくやることができる。

人々があなたの発言を信じたかどうか…私はわからない!! 彼らがあなたの発言を信じたか,私にはわからない!! すくなくとも事実は,あなたはここへきて,頭をさげた。これがあなたの人生でもっともきついことだったはずだ。

想像してしまうと本当に本当に辛いことがある。あなたが刑務所をでて,裁判所をでて,そこにあなたの娘さんがいるんだ。なんてことだろう。私は本当に辛い。二人の娘の父として本当に辛い。そしてあなたがどんな気持ちか想像できる。しかしこれをいっておきたい。なによりありがとう。きつかったことだろう。きついことにたくさん直面しただろう。家族のことが心配だろう。しかしこれはあなたの運命だ。そしてこのあなたの運命が,よりよい,よりよい,よりよい私たちを,よりよいマイケル・コーエンを,よりよいドナルド・トランプを,よりよいアメリカ合衆国を,よりよい世界へと繋げてくれることを望む。本当に心の底からだ。

天使たちと踊りながら,私たちが問われるべき問いはこれだ。
「2019年,私たちの民主主義を確実なものにするため,私たちは何をしたのか」
「私たちは場外で眺めていて,何もいわなかったのではないのか!」

そしてもう聞きたくないのだがね。みんな私のところにきて「へええ,ではこれが最初の聴聞ですか」というんだ。これは最初ではない! 最初の聴聞は処方薬についてだった。思い出してもらいたい。ちいさな娘さんだ。あそこに座っている女性。彼女の娘さんは,月に$330のインシュリンが手に入れられなくて死んだ!! それが最初の聴聞だった!! そして次が下院法案H.R.1だ!! 投票権!! 政府の腐敗対策!! いいかね! 私たちはもっとできるはずだ!! そして正常に戻る必要がある!! 以上をもって,閉会とする!